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脳MRI in 便所

『生きてるだけで、愛』

『生きてるだけで、愛。』(監督 関根光才)のレビュー

 

ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

舞台を映像にしたような作品だった。

 

観終わった後調べたら原作の著者が本谷有希子で納得。

原作も昔手に取って読んだことがある。タイトルと表紙に惹かれて。

最後どころか半分すら読まなかったけど。きっと当時読んでもなんかよく分からねーって思っただろうけど。

 

ああ、映像のレビュー、

 

観ていて疲れるものだったが、わりと良かった。

本当に疲れた。

 

自分が近い経験をしていればしているほど疲れる作品な気がする。

そして気持ちを代弁してくれたり救われたりすることもない。いや、少しは代弁してくれるんだけどもやっぱり救われないよ。作中でも、外でも。

 

相互理解は幻想だ。

 

例えオキシトシンプアで同じ病気で、更に同じ特性で自分と似た何かを持っていたとしても他人は他人。

自分とは違う。

自分自身でも自分のことが分からない、なんてことがあるくらいだ。他人には尚更。まぁ、他人だからこそ分かることもあるけど、そんなのごく一部分である。

 

自分と離れたい、と思うことがある。

 

主人公は解離性人格障害ではないけど、ないからこそ辛いのだろう。もし乖離したら彼女に関わる者たちは更に疲弊することとなるだろうけど。

 

女なんて男よりも自分を捨てるというか離れるというか脱皮しやすいだろうと思うのだが。

 

脱皮して裸になった後にその苦しみを零す。

 

それにしても寒そうだったな。あのシーンが不要だというレビューもあったが、私はそうは思わない。下着姿でもよかったのでは?と思ったけど。なんなら髪も切ってよと思った。

 撮影日は寒波の時だったそうだが、別日に撮れよと思った。そのワンカットだけでも。

 

 

でも全体的に良い話だった。良い話じゃないから良い話だった。

あのバイト先の連中が良い人たちじゃなくてただの無知な犠牲者で逆に安心した。

サクセスストーリーなんて観たくない。

 

ウォシュレットでやり返すのは上手いつーか面白かった。

 

 

 

疑問点は寧子がメイクをしていたことだ。

彼女ほどの病人がメイクなんかする気力あるかね。時間の余裕つーか管理もできないはずだし。

 

 

 

主要キャストについては特に問題なし。

他の人のレビューには趣里について疑問に思っていたようだが。俺は別に。むしろ菅田将暉の方が引っかかるくらいだった。

あと仲里依紗の糖質気質のストーカー役もよかった。仲里依紗趣里が逆でも成立したと思う。逆も見てみたい。

しかしあの役は話を進めるためだけに登場させられた感があった。本谷有希子はこの本を書きたくて書いたのか?小銭稼ぎのための作品か?

 

田中哲司の役は良い人かと思ったら彼もただの人だった。立ち直りのキーマンかと思ったのに。

あと西田尚美はリアルでもあんな感じのボケのように見えた。作中で1番嫌な役だった。そう思わせる演技ができるのはすごいことですね?

 

松重さんは、なんか違うなと思った。

あの役は自民党にいそうな傲慢な感じの人がいいと思う。

松重さんと田中哲司は無駄遣いな気がした。もっと地味で嫌そうなやつがいい。新橋にいそうなおっさんみたいな。

 

そして石橋静河。お前なんなんだ?まじで。

この人がいると作品のレベルが少し上がる気がする。いるだけで。なんなんだ?

もし俺が映画つくるってなったら絶対起用したい。

 

 

 

『リリィシュシュのすべて』よりエモくて映像(画)も良かった。

 

1番良かったのはキャストでも監督でもなく音楽だった。

邪魔にならなく、引き立ててくれる。

 

 

1 音楽

2 監督

3 趣里